2019年10月13日日曜日

遊行寺 ~「真教と時衆」展~

神奈川県藤沢市にある遊行寺清浄光寺)は、一遍上人ゆかりの時宗総本山。「一遍聖絵」などの国宝を有するほか、境内は自由に散策することができ、地元の人たちの憩いの場となっています。
今回は境内にある遊行寺宝物館で開催されている「真教と時衆」を見るために遊行寺を訪れました。2019年9月

■遊行寺境内散策
遊行寺へ行くには藤沢橋から歩きましょう。歩道の傍らにある「江の島弁財天道標」は江の島絵の道筋に建てられた道標のひとつ。「管鍼術(かんしんじゅつ)」を考案したという杉山検校が寄進したものと伝えられています。
江の島弁財天道標
▲江の島弁財天道標

赤い欄干の小さな橋を渡って見えてくるのは遊行寺の青銅製灯籠惣門です。この門をくぐると緩やかな坂道のいろは坂。春にはサクラがきれいに咲くことでしょう。
遊行寺惣門
▲遊行寺惣門



遊行寺いろは坂
▲遊行寺いろは坂


いろは坂を登りきると遊行寺の境内となります。まずは正面の本堂(登録有形文化財)にお参りします。関東大震災で倒壊したのち昭和12年に落成しました。阿弥陀如来坐像を本尊とし、木造としては東海道随一といわれています。
遊行寺本堂
▲遊行寺本堂

本堂に向かって左側の道を歩くと、南部右馬頭茂時(なんぶうまのかみしげとき)の墓があります。鎌倉幕府が滅亡した年、北条方に加わり、敵軍を突破してこの地に至り、家臣とともに自害したと伝わっています。
南部右馬頭茂時墓
▲南部右馬頭茂時墓

この道を奥に進むと、突き当りに宇賀神社(登録有形文化財)があります。宇賀神社に祭られる宇賀弁財天は、徳川家の始祖とされる有親公の守り本尊で、宇賀神に子孫繁栄を請い、遊行寺に願文を添えて勧請したと伝わっています。
遊行寺宇賀神社
▲遊行寺宇賀神社


御朱印をもらうには、境内に向かって左奥の御番方を訪ねましょう。その手前にある中雀門は、遊行寺境内で最も古い四脚門で、菊の御紋や葵の紋などが刻まれています。
遊行寺御番方
▲遊行寺御番方



遊行寺中雀門
▲遊行寺中雀門


■「真教と時衆」展
真教上人は、遊行寺の開祖、一遍上人亡き後「時衆」と呼ばれた僧尼をまとめて教団として確立しました。一遍上人の旅に随行し、一遍上人没後も諸国を遊行した後、相模原市にある無量光寺に拠点を定め、教団の強化と後進の育成に努めました。
今回の展示では、重要文化財の木造真教上人坐像を前面に押し出し、国宝の一遍聖絵全12巻を展示室の半分近くを埋めるように展示しています。
ほかにも、国指定重要文化財や県指定重要文化財が展示され、規模は小さいながらも見応えのある展示内容となっています。
遊行寺宝物館「真教と時衆」展
▲遊行寺宝物館「真教と時衆」展


宝物館を出て帰路につきます。折しもこの日は「藤沢市民祭り」の開催日。この遊行寺も会場の一つになっており、午後からのプロレス開催のためリングが設置されています。遊行寺境内を長髪やモヒカンヘアーで筋肉もりもりのレスラーたちが歩くのを見るのもなかな得難い経験でした。

【注】「真教と時衆」は令和元年(2019年)11月10日までの開催です。


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