2013年8月31日土曜日

特別展「和洋の書」 書の傑作ここに集まれり

中国の影響を受けた我が国の書は、遣唐使が廃止され、国風文化の広まりとともに柔らかみが加わり、いわゆる「三跡」によって「和洋の書」が完成します。今、トーハクに和洋の書の傑作が勢揃いしていますが、今年の特別展として見逃せないもののひとつです。

私にとって書というものは、仏像や仏画と違って少々取っ付きにくい気がします。それを知ってか知らずか、トーハクさんはまず最初に、日本人なら誰でも知っている信長・秀吉・家康の書を冒頭に配置しています。これが成功を収めているようで、私は一気に書の世界に引き込まれてしまいました。そのあとには四大手鑑がどこまでも長く展示され、また、日本史の授業で耳にしたことのある「三跡」の作品によって、どっぷりと書の世界に浸かってしまいます。



個人的に最も引き込まれたのは、やはり国宝の装飾経です。久能寺経、浅草寺経、竹生島経は、時々本館で「単品」で展示されることがありますが、これだけ一堂に会するとなかなか壮観です。また、装飾経の白眉である平家納経に至っては、展示ケースの底面に鏡を配置して外装も見ることができるようになっています。これからもこうした展示が増えれば一層興味深く鑑賞できるものと思います。

国宝鑑賞をライフワークとする私としては、これまで見たことのない12件の国宝を、今回新たに見ることができました。これもこの展示会に3回足を運んでの「成果」です。ただし、平家納経が4回展示替えされるため、すべての国宝を見るには4回会場に来る必要がありましたが、時間や経費の関係から3回が精いっぱいでした。

追伸:今回の展示では、先ごろユネスコの世界記憶遺産に登録された「御堂関白日記」も展示されています。こちらも見逃せませんね。

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